江戸の風 浪速の風  平成辛巳歳・夏乃両吟
2001年6月1日 〜 8月28日完結
琴閑亭朋朗、山椒亭笊閲

梅雨迫り胡瓜の雌花膨らみし
  湿り気帯びた風吹き抜ける
廃坑を訪う者奥へいざないて
  忌わしき伝え灯をともしつつ
一番を競う若い衆月あびて
  初セリに急ぐ大漁の蟹

売られゆくブツブツ文句言いながら
  悲しみたたえ続く坂道
出稼ぎのちゃんの土産を待ちどおし
  いつも決まった手作りのパン
休憩のテニスコートにとんぼ来る
  恋も終わりか引退試合
都会(まち)に出て別れの手紙たくしけり
  むら雲去りて月くっきりと
ふくろうの目玉光らせ白き森
  ご意見番とあがめられては
定年や花たくさんに思いあり
  折々に咲き人同じからず


















  . 下宿屋へ続く路地こそ懐かしけれ
  年に一度は友と飲み歩く
故郷の囃子の音をなつかしむ
  縁に腰掛け西瓜食う時
普段より庭をつぶさに観察し
  隣の猫と視線を合わす
真実はやはりやつしかわからない
  センセの秘密持って冥土へ
千円をくすねたために合う勘定
  ぐうたらママの家計簿のぞく
久しぶりの一家団欒月ほのか
  夜風やさしくカーテン揺らす

残暑でもひとつ冷房やめてみる
  秋のたよりか虫の声聞く
浪人生そろそろあせる季節かな
  歳歳年年変わるでもなし
なんとなく嬉しき花の通り抜け
  キラキラ川面光を受けて



















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