連句のページ
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作品集……  ● 江戸の風 浪速の風(往復書簡連句)
 ● 東風ふかば(往復書簡連句)
 ● 中之島連句
 ● はな板連句2003    (ゲストブック=掲示板)
 


  連句(れんく)というのは「5・7・5」の句(長句)と「7・7」の句(短句)を交互に連ねていくものです。36句続いたものは「歌仙(かせん)」、100句続いたものは「百韻(ひゃくいん)」などと呼び、普通はこういった“切りのいい数”だけ続けます。また、連句をすることを「巻く」ともいいます(歌仙を巻く、などと使う)。
  「歌仙」形式の場合、最初の6句を「初表(しょおもて)」、続く12句を「初裏」、次の12句を「名残(なごり)の表」、最後の6句を「名残の裏」と呼びます。これは連句を書き付けるのに懐紙(かいし)を折って用いていたことに由来します=右図
  連句の第1句を「発句(ほっく)」、それに付く7・7を「脇」、その次の5・7・5を「第三」と呼びます。最後の句は「挙句(あげく=または揚句)」といい、「揚句の果てに」などという言葉になっています。また、句を付けられる句を「前句」、付けた句を「付句(つけく)」、前句の1つ前の句(前句の前句)を「打越(うちこし)」と呼びます。連句で最も重要な精神は「前句には付き、打越からは離れる」ということです。つまり、前句の雰囲気に合った句を付けながらも、「打越−前句」の関係とは違った感じを「前句−付句」のセットでは提示しなければなりません。これによって、連句は発句からどんどん展開してゆき、打越に類似した句が付くのを避けたり(「観音開きを避ける」という)、堂々巡りで発展性のない進行を避けたりしています。
  連句は連歌(れんが)と違って雅語以外の言葉も使えますが、一般的には「丈長い(たけたかい)」句が尊ばれます。この精神は表現しにくいのですが、コセコセせず、理屈っぽくなりすぎず、おおらかで……などといった感じでしょうか。
  1人で作るのを「独吟」、2人で付け合うのを「両吟」、3人なら「三吟」などと呼びます。また、誰が句を付けるかの順番があらかじめ決まっているものを「膝送り」、自由に句を出すものを「出勝ち(でがち)」と呼びますが、出勝ちの場合は参加者(連衆=れんじゅう、連中とも書く)のバランスを考えて、うまく「捌く」ことも必要です。
  連句の決まりを「式目」と呼びますが、内容は大ざっぱに言うと順守規定と禁止規定に分かれます。歌仙について、守るべき規定の中では、『初裏の11句目(通算17句目)と名残の裏の5句目(35句目)には「花」の句を詠む。これを「花の定座(じょうざ)」と呼ぶ。』『初表の5句目、初裏の8句目(14句目)あたり、名残の表の11句目(29句目)には「月」の句を詠む。これを「月の出所(でどころ)」と呼ぶ。』『春・秋の句は3−5句続ける。』『夏・冬の句は1−3句続ける。』『36句中、恋の句をどこかで詠むことが望ましい。』などです。
  禁止規定は「去り嫌い」ともいい、『ある言葉(例:雲、星、山など)が出てくると、それ以降の何句かはその言葉は使えない、という決まり(3句去り、5句去りなどという)』『「月」は各面に1句だけ、「花」は各折(おり=表+裏)に1句だけ、という決まり(同じ折を嫌う、などという)』などのルールです。
  花の句は重要視されており、昔はその座での偉い人しか付けさせてもらえなかったそうです。花を詠めば見栄えのいい句になりやすいからでしょう。特別に誰かに花の句を譲るような場合、「(誰それに)花を持たせる」と言います。この言い回しは現在も使われています。
  連句は紙と筆記具さえあれば簡単にできる言葉のゲームです。みなさんも良き連衆と一緒にすばらしい座を持ってみてはいかがですか。
  (わたしは友人との両吟(歌仙)では、お茶を飲んだりお菓子を食べたりしながら、約2時間で巻いています。座がダレないように、スピーディーに付け句を出すことを心がけるのも重要です。)
(2001年3月20日)
→ミニ解説「転じ」「遣り句」「賦物」「本歌取り」

→ミニ解説・補遺「挙句」「個性と自己主張」「付合」「取りなし」

(リッチくん用のメモ)

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