東風ふかば  平成戊子歳・春乃両吟
2008年4月21日 〜 6月16日完結
琴閑亭朋朗、山椒亭笊閲

葉桜に気もせかされてはや五月
  那珂川の瀬に若鳥遊ぶ
陽光に水面細かに燦めきて
  潮干狩りする子らの声々
島陰で月の明かりも朧ろ気に
  あざらしの精皮を脱ぐらん

食卓に貝やわかめがよく上り
  娘ら嫁ぎ広くなる家
アルバムの若き父母何思う
  翌年の震災つゆとも知らで
新党の設立準備おこたらず
  北の大地に種芋植える
開拓の人の苦労を語り継ぎ
  笠戸丸から見る月かすむ
ありし日の神戸の街ぞ懐かしき
  冷飯混ぜる鉄板の上
路地裏に下町の花咲いている
  並んだ鉢を風が撫でゆく


















  . 注文するカウンターにて迷い箸
  関東だきと言わぬ子が増え
大阪は偉い人でも売りもんに
  国宝管理者新米団治
名前にも大きさありて秋深し
  一心寺から天王寺まで
嫁はんができましてんと言いまわる
  皆待ち望んだ親王生まれる
ブランクがあってもメジャーの夢を追い
  母校で語る大きな世界
夜行バス久方ぶりに月を見る
  サービスエリアで深呼吸する

買いそびれた土産ようやく手に入れた
  ウメ地下で見られ不倫がばれる
人工の滝の音にもせかされて
  都心の名園茶室にも風
花一輪わびさびの間に凛として
  記念公演拍手がやまず



















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