東風ふかば  平成戊子歳・夏乃両吟
2008年6月17日 〜 9月16日完結
山椒亭笊閲、琴閑亭朋朗

枇杷の実を一パック買い梅雨晴間
  赤い長靴あっちこっちに
保育所でもろたお菓子を母に見せ
  こぼさぬように大事に掬う
手水鉢もみじ浮かべて映る月
  酔ったお客が戯れにおく

舌鼓使い回しとつゆ知らず
  鍋物の具にQRコード
猪に「これ新しいか」と疑いて
  道をたんねても皆からシカト
千里から「北」は梅田と思います
  川もないのに箕面に船場
糸偏の旦那がみかん探してる
  たのもしで行く旅の夜に月
見渡して誰もおらんので雪入れる
  さめた湯割りがキンキンに冷え
花嫁の親類寒いギャグ飛ばす
  今さらフォークも歌えまへんわ


















  . 何でやねん退職金もカットされ
  建て増す予定の部屋一つ減る
将来を見すえてにらむ新開地
  奈良行き直通特急走る
関西のあちらこちらでトラ吠える
  若き球児に本拠を空けて
猛暑日はゲートボールは中止します
  やかん頭に蝉もとまりて
デカルトもゼミの続きの一夜研
  席が変われば気分も変わる
奮発す月夜の船の二等指定
  映画のごとき恋がしたくて

見栄はって走り駆ける通り雨
  思惑的中拳を握る
何年に一度の喜びロト6
  そう世の中は回りませんわ
温暖化花の季節もあてならず
  濡れてもかまわぬあす見に行かん



















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