東風ふかば  平成己丑歳・春乃両吟
2009年3月27日 〜 8月4日完結
琴閑亭朋朗、山椒亭笊閲

春告鳥朝寝の夢を覚ましけり
  光の束が降りそそぐ庭
紫のムスカリわずかに顔出して
  オランダの友亡き後訪ね
より道の堤長うて月ほのか
  ジョギングの人追い抜いてゆく

先急ぐ犬に引かれて散歩する
  躾もされず放蕩息子
春夏と百日咳を患いて
  待合室の本読み尽くす
二時間に一本というローカル線
  老婆がかつぐ干物やわかめ
子どもらが古希の祝いで集りて
  一族なれば満月競う
秋の夜化けてみせると野の狸
  天神さんに願うたつもり
花盛り牛の昼寝にてこずりて
  吉野の里に渋滞続く


















  . 流感を理由に海外あきらめて
  おがおがうなる素人の会
不孝者親の意見も聞かずして
  はしご重ねる福岡の夜
互いの名知らぬ同士で杯上げる
  地酒の店で意気投合する
時がたち知ったかぶりがばれにけり
  薄毛の男悪びれもせず
飼ってても心通じぬ爬虫類
  待つ女(ひと)おらぬ単身赴任
ひたすらに絵文字の月を探しけり
  金環蝕に見えなくもなし

最後かと思って焦る五十代
  天の声を聞き起業家となる
世の中の隙き間を見つけ埋めにけり
  離党者集い新たに結党
ふた開けて花の付く人付かぬ人
  大きな拍手舞台をおりる



















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