中 之 島 連 句 ・ 歌 仙 「心 太」
1999年8月上旬 〜 9月13日完結
<みず>謎の煉金術師はなだんなまなみ

昼下がり妻が差し出す心太
  一瀉千里雷雨のごとし
上流のダムより警報鳴り出して
  竿を納めて魚籠の手応へ
ぐびぐびとゆんでにコップ香魚むしる
  楓の青き葉陰に蛍

明日帰る孫の荷づくり片づきて
  父とのえにしTVに垣間見
そういえば野球の好きな夫(ひと)なりき
  「貴女」「小生」と書く文の束
思い出すあのときめきの恥ずかしさ
  待ち伏せするは柳の下で
ゆく夏や泥鰌も鮒もひそみけり
  亡き人思う泥濘の中
見つけたら綺麗に洗ろて入れてんか
  梨の籠持つ手を握られて
水菓子は別腹なりという貴方
  無礼講の鍋席から席へ


















  . 発つ鳥の羽音が残る北の空
  濁り水さえ雁が音の味
借金をしてまで宇治の遊山船
  利々々利々々と岸に鳴く虫
春に比し盆に重なる秋彼岸
  煙途切れず西へと流る
破れ芭蕉二百十日も遠くなり
  物思うかな初秋の風
かなわじといえども生きん冬の虫
  玉の緒幾尋(いくひろ)延ぶる日の影
空青しつかの間波に魚踊る
  邁進一路海の男ら

軒深く祭囃子の近づきて
  蟹のかろきに涙ながるる
もの言わず白い湯気吹く蒸籠かな
  そろそろ子等の戻る頃合い
子芋より亭主の好きなムカゴ飯
  夕陽の茜食卓に満つ



















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