むやみに熱い日ざしのなかで
私は疲れて眠っている
かすかな風が感じられる
木蔭に
微小な夢がゆれる
陽の光を避けて
心地よく すこやかに実を結ぶのだ
けだるい睡界で
私は手をのばしてそれをつかむ
ひいやりとした 緻密な手ざわりだ
その果実を 古い時を吸って黒ずんだ樽に詰めて
暗がりで育て 蜜をまぜる
生命の羽ばたきを吹きこむ
それを飲みほせばきっと
桃源郷への道もわかる
淀んだ空気の底で目を覚ます
束の間のうたたねは消えてしまった
梢で啼くシジュウカラ
くり返し くり返し さえずっている
私は立ち上がり
砂利道を歩き出す |