ただ茫漠と 時のうつろうなか
広がりゆく夢の荒野で
眠りにつくのは ちいさな駱駝草
冬のせせこましい心の窓あけたら
吹きこんでくる風に
海こえた 夢の沙漠のにおいがする
うしなわれた流れの痕を
とぼとぼとたどりながら
行きつくのは 世界のとびらか
ただ昏々と 夢見る冬のあけがた
なつかしい町を見たようで
目覚めはうつろなゼラチンづけの魚の目玉
冬の忘れっぽい心の窓あけたら
聞こえてくる流砂の音に
いちど途絶えた物語も よみがえり息づく
うしなわれた流れを追い
日に日をかさね 月は欠けめぐり
行きつくのは 世界の外輪
息苦しくなるような 夢の果て |