海鳴り あれこれ
みなさまからのいただきもの


CRALAさまより
 ブログに書いてくださった感想をいただいてきました:

2006.02.21「海鳴りの石」 山口華

「海鳴りの石1−ニディナ城の巻−」を読みました。
読み出したら一気に読みたかったけど、時間の制約もあって今日読み終わりました。

ため息出ちゃいます〜。
ドラマティックな展開。
情景が浮かんでくるような文章。
(私の中では、中山星香の絵で、しっかりとイメージが出来上がりました。黒髪の民に北方系。これは、漫画化するなら絶対中山星香です!)
正統派ファンタジーの世界にどっぷりと浸りたい方にはお勧めです。

それに、話の中で歌われる古の歌が雰囲気あっていいんですよ。古い神話やサガを彷彿とさせます。

残念ながら、いい男の主人公は今回全くいいとこなしだけど、今後成長していくようだし、楽しみにしたいと思います。

ひとつだけ、悲しかったのは、
私はカタカナの名前をなかなか覚えられなくて、登場人物が、途中でわからなくなってしまった・・・
特に、○○伯というのが結構いろいろ出てくるので、「これはだれだっけ?」と前を見直すことがたびたび。
メインの人たちはそれでも覚えられたけど、その他大勢の人たちがわからなくなってしまったのでした。

black obeliskさまより
 まずは、メールでいただいた感想の抜粋です:
(2006.2.22)

 冒頭、サティが身支度するシーンからテンションが上がってしまったのですが、打鐘がレッドとサティの言葉に共鳴する場面、「彼の発した言葉も、水面に投げた小石のように辺りの空気に波紋をつくったのだ」「空気は揺れ、かすかなこだまのようなきが」・・・二人が打鐘との間にある秘密に気づく場面がとても美しくて、1、2巻通して一番好きなシーンです。
 一つ一つの場面が丁寧に書き込まれていて、情景の描写も素晴らしく、読んでいて視覚的なイメージが沸きました。
 黒衣の君に導かれ、レッドが「デール・パイノフの扉」をくぐる時は、まるで映画を見ているように感じました。(最初「僕」に散々こきおろされていた黒衣の君が、ニディナでは何て存在感があるんでしょう!デール・パイノフの裏の名はフェナフ・レッド。この展開もカッコいいです。)
 また、2巻の最後でレッドとサティが歌をかけあいながら踊る場面も入り込んで楽しませて頂きました。白状しますと、うちの『天黒』でレティとアルがダンスを踊ったのは、『海鳴り』を読んで「私もダンスが書きたーい!」となったせいです。遠く及びませんが。

 ストーリー面では、石の呪いが解かれた時どんな力を示すのか、レッドが迎える結末に期待と不安でいっぱいです。
 「海鳴りの石これにあり。呪われてあり・・・」とても好きなフレーズですが、少なくとも呪いを受けた石は、人間が都合良く利用できる力ではないのですね。石を使えば敵味方なく人を傷つけ、ヴァイラにも見つかってしまう。このままならなさ、指輪物語を思い出してしまいます。あれもこれもは得られない、二律背反の深い世界観ですね。レッド、どうか最後まで無事で!
 それともう一つ・・・サチム伯が好きです。まさに「痛快な男」!私の中では何故かレッド・バトラーのイメージが重なるのですが、間違いでしょうか。(笑)いえもっと社会派だとは思いますが。彼は3巻で復帰するんですね。続きが楽しみです。
 あと、ヴァイラにくってかかるお姫様、サティ。彼女のキャラクターは新鮮に感じました。


 次はblack obeliskさまのブログより。blackさまがブログにて執筆・連載中の歴史小説『天空の黒 大地の白』の登場人物さんたちのコメントも収録されています:

2006.04.02『海鳴りの石』全4巻 作:山口華

物語によせる、一通のファンレター
ぼくのしょおらいはゆめが、レープスに行ってかいぞく王になってわるいやつらを大ほうでやつけることてす。 匿名希望(フライハルト市 11才)
「レオー、綴りめちゃめちゃよ??」
「意味がつーじればいいじゃん。大切なのはハートだよ、姫様!」
「書き直しなさい。恥ずかしいから・・・。」

あらすじ
 <僕>の親父は小説家。書きかけの原稿を置いてフラリと旅に出かけてしまった親父・・・ある晩、僕の夢に現れたのは小説の主人公、フェナフ・レッド。伝説と歌に満ちた島国レープスの「お世継ぎ」だ。「君、力を貸してくれ。」レッドと入れ替わりに、親父の物語世界レープスへ入り込んでしまった僕。予言にうたわれる通り、失われた神宝<ひびき石>を取り戻し「新しき王」となれるのか・・・だがレープスには世継ぎを排除しようとする王の妾妃一派の影と、大国ハイオルンによる侵攻の足音が。しかも、予言の鍵となる<海鳴りの石>は海賊王の血によって呪われていた!

叙情あふれる上質なファンタジー
 楽天ブログでも活躍されています、yhannaさんの作品。
 読み始めてすぐに、まず驚きました。海外文学では?と思えるような、ヨーロッパの空気を持った物語です。神宝の力と感応する歌姫や海竜、魔法と竜から人へのメタモルフォーゼ(変容)といった世界観はもちろん、文章表現、各所に配置された小道具(例えば雄牛の打鐘、飾り房の式、雪野牛etc.)−−西洋に舞台を借りただけの和製ファンタジーではない、奥深さを持っています。それに加え、物語にとって欠かせない要素、日本語の美しさも逸品です。
随所に織り込まれる数多くの歌や詩の断片・・・

つめくさ香る 春の野辺(のべ)に
来ませ 旅人 まだ日は若い
疲れし馬を 憩わすあいだ
われに語れよ 外国(とつくに)の便り

 こうした詩が単なる飾りに終わらず、物語の主軸ときっちり噛み合っているのです・・・という事にラスト近くで気づいてびっくり。(汗)
 緻密で優雅な情景描写によって、レープスの風景が「見えてくる」のも魅力です。一巻のラスト、燃えさかる炎の中で主人公と黒衣の君(デール・パイノフ。親父が書いた前作の主人公)が邂逅し、封印された扉へ導かれるシーンは映画を見ているよう。。。美しい。

予言と価値転換、犠牲と再生の物語
 話の進行の中で僕とレッドは幾度も入れ替わり、終盤では互いの世界がめまぐるしく交差していきます。さて、主人公の<僕>は勇敢で冒険心に満ちた青年・・・ではありません。彼はあくまで普通の若者であり、無力さを自覚しています。彼にあるのは「知」・・・この世界を生み出した「親父」の息子であり「物語の読者」である彼は、レープスの成り立ちと過去を知っています。彼の役割は、長い時の中で失われてしまった伝説を、もう一度レープスに伝え直し時の輪をつなぐこと。しかしこの役割を果たしたとき大いなる災禍がおとずれ、<僕>とフェナフ・レッドは「世継ぎの君」として生きる事から逃避していきます。
 世継ぎとして戦の旗頭に祭り上げられるのは真っ平だと思う<僕>。
 自分が世継ぎであると明かす事で新たな戦乱が起こるのを憂い、野に下るレッド。
(僕もレッドも、状況を先読みできすぎるので、他の者のように突っ走ることができないようです。『指輪物語』のデネソールのよう?)
 彼らの思いとは裏腹に、人々は新たな王の誕生を熱望し、予言もまたレッドが王位に就く事を示しています。僕とレッドは、世継ぎと名乗ることも世界に完全に背を向けることもできず、一人の民としてレープスのために戦いますが、彼らの選択はさらなる犠牲を生み出していき・・・。
 彼らが積み重ねられた犠牲の意味に目を向け、受け入れたとき、世界は再生へ向かって動き出すのです。読者の予測を大きく裏切る形で。

 この物語は単純な勧善懲悪では終わりません。多種多彩、魅力的な登場人物たちは、敵も味方もそれぞれ予言成就のための役割を担っています。物語が進むにつれ彼らは読者に新たな顔を見せ、<僕>やレッドの中での価値付けも変化していきます。このあたりも含め、トールキンと通じるテーマを幾つも見いだすことができます(というのもyhannaさんはトールキン研究がご専門なのですから)。
 ラスト、海鳴りの石の呪いが解かれ、予言の「新しき王」が誕生するくだりは急転直下、見事な展開。そこから始まる世界の再生も、壮大で空間的な広がりを感じさせる素晴らしい場面で、ぜひ映像で見たい圧巻の光景です。
 各人物に思い入れを持っていた一読者としては、そこに至るまで何度も「あぁぁ!」と身悶えする展開がありましたが、読後感は良いのでご安心を。
うちのレオは、レープスに移住して海賊王になりたいそうです。(笑)

なお、この本の1巻か2巻をお読みになって感想を送ると超豪華(すぎる)プレゼントがあるそうで・・・詳しくは作者様のHPをご覧下さいね。
 読み終わって、まだまだもっとレープスを味わいたいと思える作品です。ファンタジーがお好きなら、文句なしでお勧めできます。

北原杏子さまより
 読書家の北原杏子さまのページ「杏のらんどく日記」に紹介していただきました。

 こちらをクリックしてどうぞお読みください;
  1巻の感想
  2巻の感想
  3巻上下の感想


  このほか、ブログのお仲間では、あんじゅさま、えれきさまのお
姉さまからも、感想をいただきました。ありがとうございます!!!




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