おリョオリのうた 2005年・早春
「小豆粥」
みなさん、こんにちは。伝説の、幻の、眉唾の料理人・はなだんな、です。こ
のたび、楽天さんに間借りして、料理に関するあれこれを書き記そうと企てま
したが、どれぐらいの頻度で書けるやら、いつまで続くやら……。

ともあれ、まずは昨日1月15日の「小豆粥」から始めます。わが家では小正
月の行事として、焼いた餅を入れ、ちょっと塩味を付けた小豆粥を食べます。
食べるときには、正月の祝い箸を使います。このあと、門松や〆縄を焼くため
に、近所の神社へ「とんと」に出掛けるのです。これで、一連のお正月の行事
もすべておしまいになります。

かつては小正月はお休み(成人の日)でした。もう1月15日が祝日でなくな
って久しいですが、今年は土曜日だったので、うちの子たちも「とんと」に行
けました。平日に当たる年は、神社経由で登校すればいいのかな (^_^)? な
お、「とんと」で祝い箸は焼きません。2月3日の節分で、もう一度使います。


(2005年1月16日)  【関連書き込み

「ぶり大根」
20日は骨正月、というそうです。わが家には行事はありませんが、ブリの骨
などを料理に使って、正月(小正月)の行事の締めくくりとする、と歳時記に
はあります。ブリといえば、わたしは造り以外は、照り焼き、鍋照り焼き、塩
焼き、ぶり大根を作ったことがあります。かす汁や赤だしにも使えそうですが、
酒かすが苦手と言う者がおり、わが家の食卓には上りそうにありません(^_^;)。
赤だしは可能性がありますね。

最近はもっぱら、あらを買ってきての「ぶり大根」です。ブリのあらは別の鍋
で10秒ほど、沸騰したお湯にくぐらせて冷水に取り、表面の余分な脂を落と
しておきます(=霜降り)。大根は分厚く輪切りにして厚めに皮をむき、厚み
の半分まで十文字に切り込み(=隠し包丁)を入れたあと、裏返して45°回
し、また十文字に切り込みを入れます。この大根とブリを、水から煮いていき
ますが、関東煮よりも濃いめにしょうゆを入れます。ダシや他の調味料は不要
です。沸騰したら大根の中まで火が通るのを待って火を止め、自然に人肌程度
まで冷まし、また火を入れて……というのを数回繰り返すと、できあがりです。

あめ色になった大根が溶けそうになるまで、何度でも煮き直せます。また、大
根はひと口大に切ってもいいし、ブリももちろん「切り身」でかまいませんが、
皮や骨が付いているほうがコクが出るでしょうね。わが家のようにあらを使う
と、立派な「骨正月」のメニューになります (^_^)。なお、厚めにむいた大根
の皮は、斜めに細く切ってキンピラにし(ニンジンを混ぜても可)、ゴマを振
ると美味です。


(2005年1月18日)  【関連書き込み

「車麸」
冬になると食べたくなる食材に車麸があります。これは竹輪の親玉みたいな形
状をしており、水で戻して煮付けて食べるのが一般的かと思います。輪切りに
なって売っているのもありますが、わたしが東京で単身赴任をしていたとき、
スーパーで見たのは長いままで、内側がチョコレート色に香ばしく焦げている
ものでした。(輪切りであっても、長いなりであっても、バームクーヘンのよ
うだといえるかもしれません)

買ってきて、どう切ろうか迷ったのですが、乾いているうちから薄く切ろうと
すると、ボロボロ粉が出て、「その分だけ勿体ない」と思いましたので(^_^;)、
ボウルの水に浸かる程度に大きく割り、軟らかく戻してからひと口大に手でち
ぎったりしました。もしいい包丁があれば、また違っていたかもしれませんが。

味付けはどうしたかというと、実は肉じゃがを煮いて食べ尽くしたあとの残り
汁に車麸を入れ、煮含めたら、溶けたジャガイモが若干まとわりついたりもし
て、とても美味しく仕上がりました。特に、内側のチョコレート色の部分が、
もちもちして、わたし好みの食感でした。本当は、ダシと醤油と酒、みりん、
砂糖あたりで含め煮にすればいいのでしょうが、ここに書いた利用法は「勿体
ないオバケ」に取り憑かれた者だからこそ考えるのでしょうね (^o^)。


(2005年1月21日)  【関連書き込み

「ピッツァ角切りータ」
市販のシューマイの皮が余ったので、窮余の一策で作った子たちのおやつです。
熱々はパリパリして、そこそこ美味しいようです。(子たちは本物のマルゲリ
ータを食べたことがないのですが(^_^;))

【材料】 シューマイの皮4枚、スライスチーズ1枚(とろけないタイプのを
4つに折って使う)、サラダ菜など4片(バジリコの葉ならなお良い)、ケチ
ャップ(ピザソースならなお良い)、オリーブ油(サラダ油でもよい)
【作り方】 皮の上にケチャップを少量塗り、葉を置いてチーズを乗せる。こ
れをオリーブ油を薄く引いたフライパンでふたをして弱火で焼く。皮がパリッ
としてチーズがふちふち泡立ったら、できあがり。

わが家の30cmのフライパンでは一度に4ツしか焼けなかったので、上記の分量
になりました。もちろん、何度でも焼けばよいわけで、実際は16枚ぐらい作り
ました。なお、皮は乾きやすいので、使い残した際も、当該の4枚以外の分も、
浅い密閉容器に入れておけばいいでしょう。四角いシューマイの皮だけでなく
丸いギョーザの皮でもOK。皮はカビが来ない限り使えます。


(2005年1月26日)  【関連書き込み

「麦めしと塩いわし」
3日は節分(立春の前日)です。この日のわが家の晩ごはんは、麦ごはんと、
イワシの塩焼き、大根なます、すまし汁です。父は「質素な食事をして<年越
し>を祝うんや」と言ってました。<年越し>とは立春という古来の年の初め
を祝うための行事で、節分もそういうふうに位置づけられていたのでしょう。

節分には大豆を炒り、鬼やらい(追儺)とて「鬼は外! 福は内!」と叫んで
撒くのですが、まず撒く前に各自が「数え年+1コ」の豆を取って、半紙に包
みます。次に、また「数え年+1コ」の豆を取って、今度は食べます。各自が
包んだ豆(半紙をひねったもの)は、家長がまとめて神社(氏神さま)に奉納
に行きます。わたしが子どもの頃は、そうしたあとで、1升ますに余った豆を
盛大に撒きました。(翌朝、庭じゅう雀がやかましく啼いていました (^o^))

昨今、「恵方を向いて黙って巻き寿司をかぶる」という行事が喧伝されていま
す。わたしは、わが家も含め、その土地の風習は守っていきたいと思うのです
が、こういう海苔屋・寿司屋の宣伝めいた風習がはびこるのは、どうしたもの
でしょうか。バレンタインデーも含め、大手の業界には勝てないということな
のでしょうか……。今なお、わたしは、大阪古来の風習はそんなものではない
ということを訴えたいのですが。


(2005年2月2日)  【関連書き込み

「延命飴」
そうそう、節分の行事で、ひとつ書き忘れておりました。長い棒状のねじり飴
「延命飴」も、この日に食べるものです。わたしがよく食べていたのは、断面
が3稜で、らせん形にねじってあり、端が赤または抹茶色をしていました。

大阪は堀川の十日戎(1月9〜11日)に父と行くとき、いつも途中の天神橋筋
商店街に寄って、そこの和菓子屋で「福飴」と「延命飴」を買うのが習わしで
した。ちなみに福飴はどこを切っても「お多やん」が出てくる金太郎飴状で、
ガワが赤いのと白いのがあり、これはえべっさんのときに食べるもの、ねじ飴
の延命飴は、2月まで置いといて食べるもの、でした。

この店のは芋飴ではなくて有平糖(あるへいとう)であっさりしているという
ので、父のお気に入りでした。今年、えべっさんの時に寄ると「今年は飴を扱
うのん、やめましてん、すんません」ということで、やむなく堀川戎神社近く
の露店で買い、子たちに食べさせています。


(2005年2月5日)  【関連書き込み

おことわり。
都合により、しばらく休載します。
長男が指にけがをして入院し、病院への行き帰りで忙しいためです。
ご了承ください。


(2005年2月12日)  【関連書き込み

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