おリョオリのうた 2005年・秋
「むかご」
山芋のつるに生る、豆のような粒を零余子(むかご)といいます。灰緑色の皮
を取ると、中身は小さな山芋なのですが、普通は皮が付いた粒のまま食べてし
まいます。とは言っても、少々アクがあるので、加熱して食べるのが一般的で
しょう。少し茹でてから、ごはんを炊くときに塩少々とともに炊飯器に散らし
て「むかご飯」にしたり、素揚げにして塩を振り、おつまみにしたりします。

さやから出した枝豆とともに寄せ揚げ(掻き揚げ)にしてもいいですし、揚げ
るときに細い串(松葉串など)に刺して揚げると、しゃれた一品です。茹でた
あとで、フライパンに油を引かずに煎ると、ホクホクとした素朴な味わいにな
ります。たくさん食べるときは皮のエグ味が気にならないように、充分に茹で
こぼしておくのが肝心です。個人的には濃い味付けにしないほうが好きですね。

実家では、食べ残した長芋から芽が出てしまったので、試しに庭に埋めてみる
と、ぐんぐん育って葉が茂り、その葉の付け根のそこかしこに、むかごがたく
さんできました。芋は掘らずに置いておいたので、何年もむかごが楽しめまし
た。長芋のむかごなので、比較的あっさりしていたかもしれません。零余子の
字の通り、自然のおこぼれにあずかったような、ありがたい気持ちになります。
まずは素朴に、むかご飯で秋の実りを味わってみるのはいかがでしょうか。


(2005年9月9日)  【関連書き込み

「色々サラダ」
わたしが小さい頃、サラダといえば、マッシュドポテトをマヨネーズであえた
ものと同義でした。レタスのちぎったのやキャベツのせん切り、きゅうりの薄
切りを混ぜてフレンチドレッシングであえたものを、主にサラダと呼ぶように
なったのは、その後だったと記憶しています。今回書く「サラダ」は、じゃが
いもを使いますが、マッシュにはしません。ほかの材料ともども、サイコロ状
に切り、マヨネーズであえます。カラフルな、楽しい仕上がりになります。

きゅうりを3つぐらいに切り、それぞれ縦に4つ割りにし、それを1.5cm程度
にコロコロに切ります(A)。または、きゅうりの花の付いていた側を5mm
程度落とし、「斜めに切っては90度回して、また斜めに切る」というのを繰
り返し、同じような大きさに乱切りにします(B)。このAとB、どちらの大
きさでも構いませんが、それと同じぐらいの大きさに、にんじん、じゃがいも、
かぼちゃ、さつまいも(、あれば紫いも、ブロッコリーの軸も)を、サイコロ
のように切ります。多めのお湯で、まずにんじんを茹で、頃合いを見てじゃが
いも、さつまいも(紫いも)、ブロッコリーの軸を加えます。かぼちゃを入れ
て2〜3分沸騰したら、ざるに揚げましょう。崩さないように水気を切ります。

この、茹でた野菜をあえるのは、あら熱が取れてからにします。野菜をざるか
らボウルに移し、きゅうりも加えてマヨネーズであえます。ゴムべらを使い、
いもやかぼちゃを崩さないように混ぜますが、多少崩れても良しとしましょう。
お好みにより、あら挽きこしょうか、シナモンを加えてもかまいません。よく
冷やしていただくと、味もさることながら、緑黄色野菜の入った、滋養満点の
一品になります。さらに言えば、焼き豚の角切りなどを混ぜてもいいですね。


(2005年9月15日)  【関連書き込み

「小芋のたいたん」
18日は十五夜、中秋の名月です。「お月さまいくつ、十三、ななつ」と歌い
ましたが、小さい頃は月の光の射し込む部屋の窓を少し開け、光の射す場所に
机を出し、花瓶に生けた秋の七草と、芋14個、団子14個を、紙を敷いた三
方に乗せて供えました。芋は小芋を煮付けたもの。団子は小芋と同じか少し大
きいくらいの大きさで、片方を少し細長く伸ばしたような楕円球でした。芋に
似せたのでしょうか。芋も団子も、無造作に積んだか、扇形に並べたかしてい
たように思いますが、いま考えれば、小芋14個なのであれば、下から9個−
4個−1個とピラミッド形に積めばよかったのではないかと思います (^_^)。

小芋(里芋)は、皮さえむけば、煮くのに難しいことは何もありません。だし
(だしの素)と、醤油、酒で、味を付ければおしまいです。液体の総量は小芋
が全部浸る(水没する)ぐらい。紙の落としぶたか何かをして、沸騰後に火を
弱めて5分か10分か、竹串がスッと通るぐらいで火を止めます。そのまま冷
まして、味をしみ込ませます。食べるときは室温でもいいし、冷蔵庫で冷やし
ても、また電子レンジで温め、ゆずの皮や青海苔を振ってもいいでしょう。

皮をむくときヌルヌルするので、手を切らないように気を付けてください。大
ぶりの里芋を一口大に切って煮くときも同じ要領です。砂糖やみりんは必要な
いと考えますが……。それと、お月さまの年齢?「じゅうさん・ななつ」って
どういうことなんでしょうか。ずっと不思議に思っていました。祖母は「13
に半端が付いてるさかい、14個お供えするんや」と言っていましたが……。


(2005年9月17日)  【関連書き込み

「みたらし団子」
さて、お月見で供えた団子ですが、お下がりをどうやっていただくか。三方に
乗せた紙が付いていたなら、少し水で洗えばいいのですが、そのままでは味気
ない。そこで、みたらしの蜜を作りましょう。わたしは醤油大さじ5、砂糖4、
みりん3、酒2に、水200ccと、水溶きかたくり粉適量で作っていました
が、これではたくさんできすぎる。比率さえ守ればいいわけですから、これを
小さじベースにするか、10cc単位にするかすれば、余さずにできますね。

(一例として)小鍋に砂糖をティースプーン軽く山盛り2杯、かたくり粉をす
り切り1杯と、醤油5杯、みりん3杯、酒2杯入れ、水コップ1/3(70cc)
程度を加えてよくかき混ぜ、ひと煮立ちさせます。煮立ってとろみが付けば、
OK。団子を串に刺してちょっと焦がすなどしたものに、蜜を付けていただき
ます。面倒なら、団子は電子レンジで加熱するだけでもかまいません。もし蜜
の味が薄ければ、弱火で温め続けると、少し煮詰まって濃い味になります。

かたくり粉のあんは、緩すぎても固すぎても、うまく団子に絡みません。固い
ときはお湯で緩めるといいし、緩いときは水溶きかたくり粉を少量足してみる
とか、調節してください。みたらしの他に、あんを付ける、白玉団子のように
ぜんざいに浮かす、五平餅のようにまず焼いてから薄く味噌を塗ってまた焼く、
といった食べ方もあります。ひと手間かけて手作りのおやつを楽しみましょう。


(2005年9月23日)  【関連書き込み

「おはぎ」
23日は彼岸の中日でした。わが家は、春の彼岸も秋の彼岸も、どちらも「お
はぎ」を供えます。地方により「ぼた餅」とも言うようです。尤も、「棚から
ぼた餅」とは言っても、「棚からお萩」という言い回しはありませんが。この
おはぎ、基本形は“半殺し”程度に搗いたごはんを粒あんでくるんだものです。
他に、ごはんの中にあんを入れ、きな粉をまぶしたものもあります。バリエー
ションとしては、青海苔をまぶしたもの、黒ごまをまぶしたものもあります。

おはぎは元々は、粒あんの粒を萩の花に見立てて「萩の餅」と洒落たものだと
言います。中身のごはんが餅や団子にかわれば、あんころ餅や(伊勢の)赤福
と同じような感じになるでしょう。なにしろ、ごはんや団子などを小豆あんで
くるむ、というのに変わりはないのですから。この、米+小豆の組み合わせは、
赤飯と同じ材料ですが、お供えの定番だったのでしょう。おはぎは他のものに
比べて大きいですが、豪華さを表すのか、庶民っぽさを表すのかは知りません。

もち米で作れば美味しくできるのかもしれませんが、一般向けには、少し水を
多めにして炊いた軟らかめのごはんをおむすびにすれば、芯になるような気が
します。あんの代わりに金時豆の煮豆を中に入れ、ふりかけをまぶす、という
のも、現代風なおはぎで良いのかもしれませんね (^_^)。おかかやタラコなど
のナマグサ物は、お供えにはどうかと思いますが、みんなで楽しんで食べるの
ならいいのではないでしょうか。お菓子とも食事とも判断つきかねますが……。


(2005年9月24日)  【関連書き込み

「牛肉の佃煮」
買い置きしておいた薄切り牛が、冷凍庫に長い間入っていたのか、赤色が薄く
なって発見されました。そこで、おかず兼お弁当用としてギューツクを作るこ
とにしました。もちろん、凍っていない薄切りの肉や「切り落とし」でもOK
です。土しょうがを細くせん切りにしたもの(針しょうが)があれば言うこと
なしですが、なければチューブのおろししょうがでいいですから、しょうがは
ぜひご用意ください。食感から言えば「おろししょうが+大根の皮の細切り」
もアリとします(^_^;)。以下のレシピは、凍っていない肉を使う場合です。

材料:牛肉(薄切りか切り落とし)200g程度、胡椒・山椒・クローブなど
  の香辛料適宜、油大さじ2、しょうが適量、砂糖、酒、醤油、みりん。
手順:1)牛肉は繊維に直角に1〜2cm幅に切り、香辛料であえてなじませ
  る。2)フライパンにサラダ油を熱し、しょうがを入れる。3)炒まり始
  めたらすぐ牛肉を入れ、中火で色が変わるまで炒める。4)火を弱めて、
  砂糖(多いかなと思うぐらい)、酒、醤油(少し多いめ)を入れ、水気が
  少なければ水少々を差して、また中火にして煮含める。5)水気がなくな
  ってきたら、みりん少々を加え、さらに「照り」が出るまで煎り付ける。
  6)香ばしく炒まったら火を止め、自然に冷まして、できあがり。

冷凍肉の場合は、凍ったまま切れれば、フライパンに油を入れ、最初からごく
弱い火で、「解凍しながら炒める」というより「解凍しながら油になじませる」
ぐらいのつもりでほぐしてください。香辛料はそれから振りかけることになり
ます。香辛料がよく行き渡ったら、あとは中火で。欲を申せば、適度にサシの
入った肉であれば、軟らかく仕上がります (^_^)。温かいごはんによく合いま
すが、お弁当に入れても、味をよく吸ったジューシーな肉は絶品だと思います。


(2005年10月8日)  【関連書き込み

「とうがんの煮物」
秋めいて、煮物が恋しい季節になってきました。たっぷりと煮汁を含んだ冬瓜
(とうがん)などいかがでしょう。いろいろな食べ方ができる野菜ですが、ま
ずは煮物を。大きな切り身を買ってきたら、使う分だけ切って、薄く皮をそぎ
落とし、一口大に切って鍋に並べます。ひたひたの水(だし)と、酒、醤油で
煮ますが、沸騰したら弱火にし、数分して中まで火が通ったころに火を止めて、
そのまま冷ましてできあがりです。だしはカツオ系と昆布系で。わたしは簡単
に済ませるため、昆布茶を使っています。冷たくしても美味しい一品です。

あんかけバージョンもあります。最初の煮汁におろししょうが、またはしょう
が汁を加えておき、火を止める前に水溶きかたくり粉を入れてとろみをつけ、
ひと煮立ちさせて、冷まします。だしの効かせ加減は、あんをかけないものよ
りも、やや濃いめに。塩分は同程度でかまいません。いずれの煮方をする場合
でも、豪華にしようと思えば、むきえびを入れてはどうでしょうか。背わたを
取ったむきえびは、仕上がる直前に鍋に加え、煮すぎないようにします。干し
えびの場合は、充分に戻してから、戻し汁も加えて水から煮いてください。

似たような料理に「とうがんのすまし汁」があります。上記の煮物の、とうが
んの分量を減らして、塩分を少なめにしたものだと思えばいいでしょう (^_^)。
吸い口に針しょうが(マッチ棒よりももっと細く切ったしょうが)を添えると
いいですが、あん無し、薄いあんかけ、どちらでもいけます。また、いずれも
よく冷やしてもOKですが、それだと夏向きになりますね。なお、蛇足ながら、
とうがんの煮物を多く作りすぎて、飽きてきたような場合は、めいめいの皿に
取ってから(ごはん用の)ふりかけを掛けるなどしてお召し上がりください。


(2005年10月18日)  【関連書き込み

「さつまいもごはん」
わが家でときどき作る「栗ごはんに似せた芋ごはん(^_^;)」です(子たちには
申し訳ないと思いつつ……)。さつまいもは皮付きのまま、やや厚めに輪切り
にします。そのうち大きいものは6ツ割りに、小さいものは4ツ割りにするな
どして、ほぼ大きさをそろえた「分厚いイチョウ切り」にします。これを栗に
なぞらえるという趣向です。切ったら水に浸して、でんぷん分を洗い流した方
が、調理しやすいでしょう。オーブントースターで10〜15分、表面に少し
焦げ目ができるぐらいまで焼くか、フライパンで両面をこんがり焼くかします。

炊きたてのごはんに、この「イチョウ切りの芋」を加え、軽く混ぜるだけです。
お好みにより、塩や昆布茶、黒ごまを振ってもかまいませんし、ごはんを炊く
ときに昆布茶少々を混ぜて炊いてもかまいません。ただし、芋も一緒に炊くと
軟らかくなりすぎて、本当の芋ごはんになってしまいますので、別に加熱した
芋は、食べる数分前に混ぜ込んでください。香ばしさを楽しみましょう。芋を
油できつね色になるまで素揚げするという方法もあります。ただしこのときは
充分に油を切ってください。カラカラになれば、ごはんが油っぽくなりません。

もっとも、この焼いたり揚げたりした芋、これ自体が美味しいおやつになりま
す。さつまいもがたくさんあるときなど、多めに作るのもいいでしょう。塩も
砂糖も何も付けずとも、お茶うけや虫養いなどになります。とはいえ、食欲の
秋ですから、ついつい食べ過ぎて体重オーバー……ということに関しては自己
責任でよろしくお願いします (^_^)。さつまいもは繊維分が多く、改まった席
でのガス事故のもとになったりしますが(^o^;)、体にはいいものですからして。


(2005年10月24日)  【関連書き込み

「焼き・しいたけの軸」
「生しいたけのひき肉詰め」という料理があります。それはそれで結構なので
すが、先日家内が生しいたけを買ってきたときに、「軸はどうするん?」と聞
くと、「捨てる」と言うので、それはもったいないと、焼いていただくことに
しました。生しいたけの笠の部分は、肉詰めでも揚げても鍋ものに入れても、
いろいろ調理法がありますが、軸は網で焼くに限ります。もちろん笠も焼いて
もかまいませんし、もし良ければ他のきのこ類も用意すればいいでしょう。

しいたけを裏返して、包丁の先で軸をえぐり取るようにします。軸は、石突き
の部分が硬いので、少し包丁で削るようにしてそぎ落とします。そして、太い
ものは3ツか4ツ割りぐらいに、細いものでも2ツ割りに、手で裂いてくださ
い。笠が付いていた側に包丁で少し切れ目を入れてもいいですが、あくまでも
手で裂くのを基本とします。これを網で焼きます。ガス用の焼き網なら中火か
強火で、少し焦げたら裏返し、水分が出ないうちに焼き上げてしまいます。

焼きたてにポン酢を振るなどして、熱いうちにどうぞ。目をつぶって食べれば
松茸……とまではいきませんが、歯ごたえは負けません。他のきのこでは、癖
のないエリンギなら細く裂いて、ジトッとならないように焼き上げましょう。
舞茸は味が濃いので好みもありますが、大ぶりにさばいて香ばしく焼きます。
しめじは味のいいきのこですが、水分が多いので少しクタッとなりますね。も
し手に入れば、大きめに裂いた松茸があれば、申し分ないのですが (^o^)。


(2005年10月28日)  【関連書き込み

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