おリョオリのうた 2005年・初冬
「しみコンニャク」
豆腐を凍らせて、戻したものを高野豆腐といいます。高野山の僧坊にちなんだ
精進料理なのかもしれませんが、別名凍り豆腐、凍み豆腐(しみどうふ)とも
呼びます。で、しみコンニャクです。高野豆腐と同様、元のこんにゃくとは少
し違った食感のものになります。例えて言えば、戻す前の寒天というか、目の
粗いスポンジというか……。そんなですから、薄切りまたは細切りにして使う
のがいいでしょう。醤油等の味しみも今ひとつで、食感を楽しむ食材です。

こんにゃく1丁は、薄切りにして水に放し、引き上げて軽く水気を切ります。
これを冷凍庫に入る大きさの皿に(できれば重ならないように)広げて並べ、
5〜10分置きます。その後、皿を傾けて、出てきた水を捨て、凍らせます。
真っ白に凍ればOK。短冊状の「しみこんにゃく」ができました。薄く切って
作ると繊細な味わいになりますが、分厚いと噛むのが大変かもしれません。

自然解凍または水で戻したうえで、三度豆と細切りの平天(薩摩揚げ)と一緒
に煮付けてもいいですし、小さな色紙に切って煮豆にまぜてもいいでしょう。
細く切って、にんじんと薄揚げのきんぴらにも。とはいえ、しみこんにゃくに
してから切るよりも、はじめから使い方を決めて、その形に切ってから凍らせ
たほうが効率的です。わが家はハプニングから生まれ、その後何回か人為的に
作りましたが、いい料理法を思いつきましたら教えてくだされば幸いです。


(2005年11月4日)  【関連書き込み

「まんばのけんちゃん」
万葉というのは高菜のような葉物野菜、「けんちゃん」は巻繊(けんちん)で
豆腐を使った油炒め、という意味の、香川県の郷土料理です。巻繊はもともと、
細切りにした根菜類を春巻のように包んだものだそうですが、それが「けんち
ん汁」といったように(豆腐を使った)精進料理の代名詞のように使われ、さ
らに現代の「けんちん汁」には肉類や魚のダシも入るようです。「けんちゃん」
でもいりこダシを使うそうですが、精進の巻繊でないからいいのかな(^_^;)?
高菜のような「万葉」が手に入らなくても、タアサイなどで作ってみましょう。

材料:タアサイ2〜3把、もめん豆腐半丁、油、醤油(、ちりめんじゃこ)。
手順:1)豆腐はラップをせずに電子レンジに2〜3分かける(水切り)。
  2)タアサイは水洗いして葉と軸に分け、軸は3cmほどに切って、まず
  油で炒める。3)続いて葉と、ダシ代わりのちりめんじゃこ少量を加え、
  炒める。4)そこへ豆腐を加えて崩しながら炒め、醤油で味付けする。
  5)水気を少し飛ばして仕上げる。お好みでこしょう少々を振ってもよい。

豆腐と一緒に炒めるというのですぐに思いついたのは、沖縄のチャンプルーで
す。チャンプルーにもかつお節やツナが入ることがあります。でも油と豆腐と
いう組み合わせですから、きっとダシ無しでも美味しいと思います。湯がいた
ほうれん草や菊菜(春菊)でもできそうですが、タアサイだとアク抜きの手間
が要りません。醤油を入れた段階で、どうしても水気が多く出てしまいますが、
なるべくシンプルに仕上げるのがこの料理の持ち味なので、水溶きかたくり粉
などは入れないほうがいいでしょう。入れても、別の料理としてはOKですが。


(2005年11月7日)  【関連書き込み

「かぶらの茎・5題」
●浅漬け
漬物の基本は「生の素材100gに対して塩3g」。よく洗って(砂を落として)
食べやすい長さに切った茎をポリ袋に入れ、水分ごと重さを量り、その3%分
の重さの塩を入れてよくまぶし、少し揉んでから空気を追い出して(水分が漏
れないように)封をし、全体を器かタッパーかに入れて冷蔵庫へ。翌日には食
べられます。
塩1gは、手のひらのくぼみに塩をさらさらと盛って、500円玉大ぐらいに
広がれば、だいたい1gですので、ご参考に。なお、塩の一部を昆布茶に代え
ても美味しい浅漬けになります。

●佃煮
よく洗って細かく切った茎を、フライパンで多いめのごま油で炒めます。水分
がとんでしんなりしてきたら砂糖、酒、醤油で味付けし、さらに水分がなくな
るまで、よく炒りつけます。お好みで七味などを振っていただいてもOKです。
(上の「浅漬け」もそうですが、「茎」というのは「茎も葉も」というつもり
で書いています)

●クリーム煮
茎はよく洗って食べやすい長さに切ります。小鍋に水(120cc×人数分)と切っ
た茎を入れて火にかけ、煮立ったらいったん火を切ります。ホワイトシチュー
のルー(小さなひと山×人数分)を加えてよく溶かし、もう一度煮立たせれば
できあがり。2度目はあまり煮立ちすぎないようにしてください。もちろん、
きのこ類や細切りたまねぎ各少量を加えてもOKです。

●炒め煮
茎は洗って食べやすい長さに切ります。薄揚げ(茎1球分につき半枚ぐらい)
を細く刻みます。フライパンにサラダ油少量を入れて、茎をしんなりするまで
炒め、薄揚げを加えて少し炒めます。水(またはダシ)100ccを入れて煮立たせ
たあと、みりん、醤油で味付けし、煮含めます。熱々でも、冷ましてからでも、
どちらでもどうぞ。

●あっさり炒め
しめじ(適量)はほぐします。かぶらの茎は洗って、しめじと同じぐらいの長
さに切ります。にんじんも同じぐらいの長さのマッチ棒に切ります。フライパ
ンにサラダ油少量を入れ、まずにんじんを炒め、かぶらの茎、しめじの順に加
えて炒め合わせます。よく炒まったら酒少々を振りかけ、塩で調味します。器
に盛り分けてから、ごまを振りかけます。酒と塩以外、他の味付けは加えず、
素材の味だけを楽しむメニューです。

    ※以上は「かぶらの茎の部分の食べ方をおしえてください」というyama65さんの
     リクエスト(2005年11月20日)にお答えしたものです。


(2005年11月21日)  【関連書き込み

「関東煮き」
「かんとうだき」とは何でしょう。厚揚げ、こんにゃく、ねり製品(竹輪や、
魚のすり身を揚げたもの=てんぷら)、大根、じゃがいもなどを、醤油味で煮
込んだものを言います。「関東風のおでん」ですが、発祥は関東ではなく、か
つての貿易港であった大阪の堺で、中国人が食べていた海鮮煮込みが広東煮き
(カントンだき)と呼ばれ、「カントだき」と呼ばれているうちに「関東」と
書かれるようになったという説があります。「おでん」は田楽のことで、関西
では茹でたり焼いたりした豆腐やこんにゃくに味噌を塗ったものを指します。

関東煮きに限らず鍋物一般に、具材のハーモニーが重要だと言えます。わが家
の関東煮きは、調味料は醤油と酒だけで、だしは使いません。ねり製品は必ず
使うので、それを煮込んでいるうちにいいだしが出てくるのです。野菜の中で
は大根が“名役者”です。厚揚げ、てんぷら(牛蒡天、平天、三色天など)、
それに昔よく使っていたコロ(鯨の脂身)など、油ものも必要です。昆布巻き
や結び昆布も、あればいいでしょう。これらに比べれば、茹で卵、こんにゃく、
(煮崩れる前の)じゃがいもなどは、煮汁に助けられている感がありますね。

うちの子たちは餅入り巾着がお気に入りで、わたしはヒロウス(ヒリョーズ=
飛竜頭、がんもどき。ポルトガル語のフィリョス<油で揚げた食品>が語源)
です。餅キンはあまり長く煮込むと溶け出してしまいますが、他のものは何度
も煮き直したほうが、よく味がしみますね。なお、鍋いっぱい食べ尽くして、
煮汁が残ったら、じゃがいもの煮崩れを取り除いた上澄みを、肉じゃがの煮汁
にでも転用してみてください。予期せぬサカナ系のだしが出ていますから。


(2005年11月23日)  【関連書き込み

「すり流し汁」
寒くなると、温かい汁物が欲しくなります。今回の汁は粘り気のある味噌汁で、
全く冬向きと言えるでしょう。正式名称を知らないので「すり流し汁」としま
した。粘り気の正体は、じゃがいもを摺ったものです。つまり、にんじんや長
ねぎやその他、具だくさんの味噌汁の、じゃがいもだけを摺ったものとお考え
ください。味噌をふだんの分量より、こころもち控えめにしていただいたほう
が、上品に仕上がります。なお、冷めにくいので、やけどにもご注意ください。

材料:じゃがいも(2人で半個〜1個)、にんじん、大根、たまねぎ、長ねぎ、
  しめじ、えのき茸、わかめなど適当に(各適量)、だし汁、味噌、青ねぎ。
手順:1)にんじんなどは細切りにする。長ねぎは細切りでも小口切りでもよ
  い。きのこ類はさばく。2)人数分のだしに具を入れ、水から沸かして、
  にんじんが煮えるまで煮る。3)皮をむいたじゃがいもを摺り下ろし、鍋
  に加えてよくかき混ぜる。4)ひと煮立ちしたら火を弱め、味噌(人数分
  よりやや少なめ)を溶き入れる。5)火を強めて、煮立つ直前で火を止め
  る。6)お椀によそい、お好みで刻んだ青ねぎなどを乗せてできあがり。

さらに汗をかきたい人は、じゃがいもを入れたあとで、おろししょうがを加え
るか、食べるときに七味を振るかしてください。具はたくさん挙げましたが、
もちろん、あり合わせで結構です。にんじん、長ねぎ、わかめぐらいがあれば
充分です。じゃがいもが多すぎると、粘りが強くなりすぎます。まあ、それは
それで美味しいのですが、汁物とは言い難くなってしまいますね。2人前とし
て、じゃがいも大なら半個、小なら1個ぐらいが無難ではないでしょうか。


(2005年12月2日)  【関連書き込み

「シェークサラダ」
時々行くハンバーガーチェーンに、生野菜とドレッシングを器に入れ、ふたを
して振って、なじませて食べるサラダのメニューがあります。これをヒントに、
家で作るシェークサラダを考えました。レタス以外はあり合わせの野菜で充分
です。味の決め手は「和風クルトン」(^_^;)。醤油味の揚げせんべい(ぼん○
揚げとか、歌舞○揚げとか、揚げ小○など)で食感とコクを楽しみましょう。

材料:レタス、キャベツ、きゅうり、かいわれ菜、トマトなどの野菜(適量)。
  お好みのドレッシング。醤油味の揚げせんべい数枚(割れたお徳用も可)。
手順:1)洗ってよく水を切ったレタスは小さくちぎります。キャベツはせん
  切り、きゅうりは薄い小口切りに。かいわれ菜は、さばきます。2)これ
  らを密封容器(タッパー)に入れてドレッシングをかけます。3)ふたが
  開かないように注意しながら約1分間、上下左右に激しく振って全体を混
  ぜ、なじませます。4)ふたを取り、サイコロ状に切ったトマトと、手で
  細かく割った揚げせんべいを加え、優しくまぜ合わせて、できあがり。

4)は、食べる直前にしましょう。小房に分けて茹でたブロッコリーを加える
場合は、軸側から切れ目を入れて2〜4つに割き、固めに茹でてあればシェー
クする側に加え、軟らかめに茹でてあればシェークした後に加えてください。
先日は、ごまドレッシングで作りましたが、子たちがとても気に入ってお代わ
りをし、クルトンの追加トッピングもせがみました(^_^;)。そうか、急に野菜
サラダが好きになったというのではなく、揚げせんべいが目的だったのだナ!


(2005年12月4日)  【関連書き込み

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