2.飛行機に搭乗する
起きたのは5時。いや、正確には、うつらうつらしながら5時 を迎えた、というべきだろうか。さっそく支度をして5時半にロ ビーへ下りる。夜中に、部屋のジュースを1杯とカンパリを1杯 飲んだのだが、精算はまた後日、ということで、かねて手配のタ クシーに重いサムソナイトを抛り込み、新大阪駅へと向かった。 外は雨。しかもかなりの大粒だ。「水不足はそのうち解消するや ろなあ」……そんなことを考えても今は仕方がない。これから2 週間、日本を空けるのだから。「新幹線が豪雨で遅れる、なんて ことはないやろなあ」……こちらのほうが切実な心配かもしれな い。 15分ほどで新大阪に着いた。6時26分?の新幹線までだい ぶ時間があるが、眠たいので物を食べる元気がない。しかし朝抜 きではつらいので、式の当日に、新妻の友だちから餞別にもらっ たクッキーを2人でつまんだ。新幹線ホームではサンドイッチを |
買い(とても高かった!)、スープとともに車内で食べた。定刻 に東京駅に着き、地下ホームから成田空港行きの特急に乗り換え る。空港では、初めて飛行機に乗る華氏は妻に従い、荷物を預け たり、空港利用料のチケットを買ったり、出国ゲートに並んだり した。 エールフランスのパリ行き便は12時45分発。華氏は小腹が 減ったが、妻に「どうせ飛行機に乗ったら食事は出るよ」と言わ れ、しばらく辛抱しようとした。しかし、「これで日本ともしば らくお別れやし、焼きおにぎりぐらいやったら食べてもええな」 という妻の提案には賛成した。……いよいよ搭乗。今回は少し贅 沢をしてビジネスクラス(ル・クラブ・クラス)に乗った。妻に よると、エコノミーよりかなり座席が広いらしい。しかし12時 間半もハコの中に幽閉されるのには違いない。たいくつするか、 飛行機がイヤになるか、そもそも無事に飛べるのか……。狭い窓 から空港のごく一角を眺めながら、華氏は考えていた。 → 3「無事にパリに到着」へ |