21.炭酸のない水が飲みたい
一夜明ければ、空はとてもよく晴れ、快晴だった。ホテルで朝 食をとる。シリアル(繊維質の多いもの=コーンフレークなど) のほか、ベーコンやスクランブルエッグなどのお決まりのメニュ ーに加えて、もちろんアイリッシュ(ブラック)ブレッドはつい ている。それに、トーストした普通の食パンも。ただ、この国で は、日本でいう<サンドイッチ用>ぐらいの薄さに切り、さらに 三角に切ってあるのが特徴だ。いろいろな宿で朝食に出てきたの も、すべて薄切りのパンだった。部屋に戻り、華氏の枕の下に、 チップを2人分で1ポンド置いてチェックアウトした。旅行中、 華氏らはこれを勝手に“枕代”と呼び習わした。たとえば「もう “枕代”置いといたからね」というように。外に出ると、車の窓 には一面の露。ワイパーでひと拭きして、9時ちょうどに出発し た。 スライゴーの南東のギル湖に寄る。このあたりからも、きのう 見たベンビュルベンが見事に見える。きょうの行程は、前日ほど ではない(はずな)ので、ゆっくりと写真を撮ったりする。N4 を少し南下してから、分岐したN17に進んだ。あとはゴルウェ ーまで“道なり”に走ればよい。楽勝だ。途中、華氏は飲み水が 欲しくなり、巡礼地として知られるノックの町で休憩した。ただ |
し、たまたま寄った店には普通のミネラルウオーターはなかった ので、仕方なく炭酸入りのミネラルウオーターで我慢した。華氏 はこの日以来、ずっと水に悩まされ続ける。車から降りたついで に、近くの土産物店にも立ち寄り、コースターのほか、シャムロ ック(三つ葉)をかたどったかわいいお皿などを大量に買い込ん だ。 ノックには空港がある。ところが、町からかなり離れてあるそ の<ノック空港>は、何だか単なる平地、という感じのところだ った。「へえ〜、こんなんでも空港か」と、半分あざけりながら 案内標識を見ていたのだが、これは後になってみると、華氏らに とって他人事ではなかったのである。……ともあれ、車は順調に 88マイル(140キロ)ほどを走り、昼ごろゴルウェーに着い た。昼食前に、鉄道のゴルウェー駅近くの[i](インフォメー ション)で、若干の両替と、翌日のアラン島行きの船と宿を予約 した。ゴルウェーからバスでアラン島の対岸まで連れていってく れて、船に乗り、島で1泊して(朝食つき)、船とバスでゴルウ ェーに帰る、というのが、全部コミで1人£24(3600円)。 ほんまかいな、と、信じられないくらいの安さだ。気を良くした 華氏らは、またもやお土産をたくさん買い込み、[i]の前に車 を止めたまま、昼食を食べにレストランへと歩き始めた。 → 22「きょうもあせって走れや走れ」へ |