17.駐車場で冷や汗
スタッグス・ヘッドでは、ほかにジン・ライムやジンのロック も飲んだ(当国南部・コーク地方のドライジンがあった)。にぎ やかな社交場であるパブが、ほんとうにパブらしくなるのは10 時半を回ってからだというが、この日はビールで満腹したことも あり、9時半に帰って寝た。ホテルまでの道すがら、何軒かのパ ブの前を通ったが、前日もそうだったように、にぎやかなパブは 早い時間から騒々しいし、落ち着いたパブは大人の雰囲気を漂わ せている。華氏らが宿をとったテンプルバー界隈は、にぎやかな 部類に属するらしく、この日もかなり遅くまで、ホテルの前の通 りを何やら歌いわめきながら歩いていく酔客たちの声が聞こえて いた。 翌日は7時に起きた。8時までに駐車場から車を出せば£4だ が、8時をすぎると一挙に割り増されて高くなる。夜間はおトク なのである。朝食を食べに出るより、日本出発前に妻の友だちか らもらったクッキーや、エールフランスでもらった「おかき」を 消費するほうが、何かと好都合だと思い、部屋で紅茶をいれて、 それで朝食をすませた。華氏はすぐに駐車場に行ったが、車をゲ ートまで動かしてマゴマゴしていると、係員が飛んできて、英語 で何やらののしってくれた。結局、「車をいったん元の場所に戻 |
して(ほかの車の邪魔にならないように)、奥のエレベーターで グランドフロアに下りて、そこで精算をすませ、そのときのチケ ットをゲートの機械に入れろ」ということなのだと理解し、その とおりにして、8時5分前に精算し、出庫できた。……危うかっ た。 ホテルに戻ると8時を回っていた。すでにチェックアウトをす ませていた妻と、荷物を車に積み込み、リフィー川を渡って北へ 行こうとしたのだが、一方通行や右折禁止などのため失敗した。 仕方なく、今度は朝日に映えるセント・パトリック大聖堂の写真 を撮った。ようやく川を越え、郵便局でまた日本へ小包を送り、 オコーネル通りの北端に立っている独立運動の指導者・パーネル さんの像の写真を撮り、N1に乗って北へと向かった。この国で は、郊外の幹線道路には信号がなく、順調に流れるが、一般道と の交差はランプウエーではなく、ロータリー方式によって行われ る。従って一旦停止を余儀なくされるのだが、このロータリーさ えなければ時速200キロでも250キロでも出せそうな雰囲気 だ。ダブリンから北30マイル(48キロ)のドロヘダを目指す 華氏らの車は、円塔の遺跡が残るソーズの町にさしかかった。 → 18「ニューグレンジで陽が射した」へ |