34.パブの支払いはタダ?
翌朝は、9時に朝食をとった。アトランタ・ホテルは改装中な のか、フロントの横からパブを素通りし、大工さんがガンガンい わせている部屋とベニヤで仕切られた廊下を通り、食堂へ出た。 お決まりのアイリッシュ・ブレックファースト。シリアルと黒パ ン、食パンのほかに、ベーコン、スクランブルエッグ、ソーセー ジ、黒プディングと白プディング。オレンジジュースと、華氏は 紅茶(妻はコーヒー)。味の濃い2種類のプディングにも慣れて きたが、これはいったい何なんだろうと、ずっと思っていた。日 本に戻ってから辞書で調べると、なんとも複雑な気持ちになった が。 10時にチェックアウトしたが、おやおや? ゆうべ、パブで 飲んだアイリッシュ・コーヒーやジンの分がついていない。タダ なのか? フロントのおばさんに部屋のかぎを返すと、「OK。 バイナウ!」と言うので、「てんきゅー、ばいなお!」と言って ホテルを出てしまった。タダなら、もっと飲めばよかった。…… しかし、そういえば、“古い話”になるが、レンタカーをゴルウ ェー空港に返したときも、ガソリンは満タンにして返さなかった ぞ。後で請求が来るのかなあ(と思ったが、後日来たカードでの 請求には、最初の£200 <3万円>分しかついていない。どうい |
うことだ?)。もしかしたら、ガソリンは使い放題だったのだろ うか。アラン諸島で馬車に乗ったときには、多少、損をした気も したが、また別にヘンなところで得をする。万事いいかげん、と 言うべきなのか、どうもこの国には、いろいろと奇妙なことがあ る。 もう何度目になるか、エール・スクエア横の[i]に行って、 またコースターなどを買い、華氏の同僚、約60人分のお土産を 買いそろえた。道すがら、ショップ通りの歩道で、ジーパン姿の 若い男が、バグ・パイプのようなアイリッシュ・パイプを吹いて いるのを見かけた。[i]のすぐ向かいの一角が、インターシテ ィー(アイルランド鉄道)のゴルウェー駅。長距離バスなども、 ここから発着する。1人£7で切符を買って、11時35分発の 列車でゴルウェーを後にした。列車はさほど揺れもせず、快適に 走っている。曇っているせいか、車窓の風景は陰鬱な感じだ。石 の多いこの国の西部地方を走っているからだろうか。鉄道は、ダ ブリンへの中間ぐらいまでは単線で、平日は1日4往復、休日は 2往復しかない。ダイヤより5分遅れて、12時55分にアスロ ーン駅に着いた。しぐれている。今日のB&Bは、駅から2マイ ル(3.2キロ)。 タクシーを使わなければいけない距離だ。 → 35「待ち遠しい夕暮れ」へ |